ニャン運長久を祈らばや

上述にある、読了した文庫本2冊のうちの一方は『吾輩は猫である』(新潮文庫)である。

昨年からかれこれおよそ4ヶ月かかって今週読み終えた。

日頃私が読書するのは主に行き帰りの電車に乗ってる間で、大体1日10頁も進まない。1頁も読まない日もある。こんな読み方、読書家の方々からすれば邪道・外道もいいところだろうが、そこは「牛歩の読書」ゆえ大目にみていただきたい。自分としては、高名なる作家の代表的な長篇をひとつ読み終えたことに一応の達成感や満足感を得ている。


あまりにも有名な作品だが、その中身はこれまでほとんど知らなかった。
伊藤整の解説に曰く「漱石の陥りがちであった冗長さ」のせいか途中で読みづらい部分もあったが、いやぁ今日においてもじゅうぶん面白いですね。洋の東西も聖俗も越えた漱石の博識ぶりも伝わった。
終わりの方に「呑気と見える人々も、心の底を叩いてみると、どこか悲しい音がする。」
とあるのは、妙に美しい一文だと思った。


 以下、ネタバレの記述あり。これから『猫』を読もうという方の為、いちおう注意しときます。


いちばんはじめの2句は当然のこと、猫が逝去なさる結末についてもだいぶ前から知っていた。
しかし私は「ビールの樽」に溺れたものと思い込んでいて、今回初めてちゃんと読んでみて、その誤りに気が付きました。難有い難有い。