8/20奈良博Sトークその1

8/20に奈良博に行った際、サンデー・トークなるものがあるのを知り、聴講することにした。
8月から奈良博本館の展示が新しくなり、それがこの日当館を訪ねた目的のひとつだった。*1
で、Sトークの題目は「リニューアルされた本館展示」。
これは本館をみる前に聞いておいて損はなかろうと思った。


講堂に入って開始を待つ。
聞きにきてる人の数は多くなく、やはりというか、年齢層は高い。
今日の講師は当館美術室長の岩田茂樹氏。
お名前は以前から知ってたが、今日はじめてお顔をみて江川達也に似てるなと思った。
髭の方なのである。
以下、Sトークの内容をメモをもとに略記。


「リニューアルされた本館展示」主なポイント
・今回の本館リニューアルは、金堂の大修理に伴いお預かりしてた唐招提寺薬師如来立像の展示が終了したのが契機となった。*2巨大な薬師像のいる間、寄託されてる東大寺の二天像*3などは出番がなかった。
・本館は歴史ある洋風建築だが、それが逆に短所でもある。重文指定をうけてるため、改変が難しいのである。
・今回、中央(第1室)及び隣接する2部屋の照明を変えた。上部から照らすトップライトのみでは見せ方に限界があり、スポットライトと組み合わせるようにした。リニューアル後がベストとは思われないが、これにより立体感をみせるのに前進できた。
・また第1室の中央には、従来のものにかえて十文字型の展示台を据えた。
・リニューアル後の展示は過密で、観覧者と近すぎるのではとの指摘もある。*4
・まだ部分的ではあるが、英文の解説を増加した。ちなみに日文解説は90字までを基本とする。
・展示品が置かれず「休憩室」になってた角部屋(第5室)はソファを減らし、中国の木彫像を展示することにした。ここに置くのは唐代より後の、日本では人気薄とされる時代のものである。
・「阿弥陀如来」や「地蔵菩薩」、「明王像」「天部像」のように各尊像別の展示を行うようになった。*5
・展示に「注目の逸品」というコーナーを設けた。初回は、館蔵の薬師如来坐像国立博物館が所蔵する彫刻中唯一の国宝である。この像は京都・若王子社伝来で知られるが、当社に宝形造のお堂(倉庫に使用してるらしい?)が現存しており、そこに安置されてたのかも?尚、右腕に一部漆箔が残ってるのが発見されてる(但し展示ではみえない部分である)。
(10/2の日記へつづく)

*1:当日みた展示の感想は8/20、9/5の日記参照。

*2:平成12年春から第1室で展示されてきた。唐招提寺に戻った後、寺内の工房で修理される。

*3:重文の持国天多聞天立像のことだろう。

*4:この点が当日「仏像酔い」した一因かもしれない…。9/5の日記参照。

*5:それまでは時代別の展示を主とした。8/20にみた中、「釈迦如来」では館蔵の出山釈迦立像、仏涅槃像(照源寺)といった珍しい彫刻作品も。尚、第1室は「大和の仏たち」というテーマで、時代・種類にとらわれず奈良の彫刻名品が集まる。