「国宝 子島曼荼羅」その2

(7/28の日記のつづき)
次は左の復原模写へ。全体をみる。
…華麗さが増し、より濃密で尚且つ引き締まった感じがする。
そう思うのは、原本に比して、全体に銀泥の色が加わっているからだろう。
この銀泥の使用は、曼荼羅の復原に伴う調査における発見のひとつなのだそうな。


子島曼荼羅は紺地に金泥・銀泥で描かれたものだが、
銀泥の部分は「銀焼け」(銀の酸化による現象か?)で変色し、
原本では何が描いてあるのか、わからなくなってるところがあった。
今回原本を写真撮影する際、「たまたま」一部に近赤外線をあててみたところ、
銀焼けでほとんどみえなくなってた部分が浮かび上がることがわかった。
ミステリアスな発見…。
模写の過程で、予想以上に多い銀泥が使用されていることが
判明したというのも、この撮影手法によるのだろう。


会場では、復元に用いた下絵や綾裂なども展示されていた。
復原模写の製作にあたっては、素材はもちろん技術についても
当初の再現が試みられたという。
その具体的な経過は図録に詳しいのでここでは述べないが、
平成11年から15年にかけて4年間、さまざまな努力がなされた結果
この復原模写という一大事業が完成したのだ。


再び原本に戻ってみる。
…うーむ、さすがに傷んどるなぁ……
復原模写をみた後となると、さっきと印象が変わった。
しかし、こうして原本の今日のすがたと、復原されたもとのすがたを
いっしょにみられるというのは、なかなか面白い価値のある展示だ。
この日記をアップした時点ではまだ開催中なので、*1
興味のある方にはおすすめの展覧会です。


1000円の図録は買うかどうか考えたが、結局買いました。
子島曼荼羅のみなので薄手の図録ではあるが、
9分割された原本・復原模写の写真が、見開きで比較できるように掲載され、
また両界の解説や尊名記載もあるので「お値段以上」の内容ではないでしょうか。


同時開催の 親と子のギャラリー は、
子島曼荼羅金剛界に展示替えされたら見に行こうかね。
8/1には本館の展示がリニューアル*2されるらしいから、それも次の目当て。
(日記おわり)

*1:8/20まで。金剛界曼荼羅(原本・復原模写)を展示。

*2:7/10-31の間は、リニューアルのため本館は休館。但し館内の中国古代青銅器室は開館、野外から入れるようになっていた。