「京焼‐みやこの意匠と技‐」
@京都国立博物館(10/17-11/26 2006) 11/3観覧
今頃、昨秋みた展覧会の感想を…。
文化の日に、文化的に見に行った特別展。
やきものは、これまであまり関心を持たなかった分野であるが、京都にいながら京焼のことをよく知らないままでいるのは忍びない、たくさんの作品をみられる良い機会だと思って行ってきた。なお鑑賞したのは金曜日の夜間開館(〜20時)のときで、人も多くなくてみやすかった。
黎明期から20世紀までを9章にわたって紹介。野々村仁清や尾形乾山、奥田頴川、青木木米など、聞いたことのある代表的な作家のものが揃っていた。会場中央の部屋は今回「仁清色絵陶器の間」として、仁清作品を中心に展示していた。
特徴的だと思ったのは、展示品の数の多さ。
他の例と比べると、東博の一木彫展*1が65件、奈良博の重源展*2が149件だったのに対して、「京焼」展は279件(!)。*34ページにわたる出品目録は一見して異様で、びっしりと小さな文字で表記されていた。この多量さの理由は、やきものという工芸品(ひとつひとつの大きさが知れている、場所をとらない)を扱う展覧会だからこそ、か。
比較的「整然と」展示されてるなあという印象を感じたのも、このジャンルならではだと思われる。
図版でみたことのある国宝・重文指定の作品もある中、とくべつ面白いものでもないが、なぜか記憶に残っているのは「色絵栄花物語冊子形硯箱」(19世紀)という一品。和綴じの冊子が数冊、上に重ねて積んであるようすを模したやきものの硯箱。『栄花物語』の巻ごとの厚さの違いまで再現しているという。
よくこんなのを思いついて、実際に作ったもんだと、妙に感心してしまった。
やきものの知識は乏しいから、それを逆手にとって(?)ひとつずつをじっくり、のめり込んで見るというよりは、全体的な雰囲気を楽しもうという気で臨んだ。
そうして感じたのは、やきものという工芸品は、立体造形でありながら絵画のようでもある、ということ。やきものそれ自体がキャンバスであり、そのかたちは自由で、そこに描く画、用いる色も自由だと思った。実用という条件さえ満たせば、表現の可能性は限りなく広いように思われた。
新館で中島誠之助氏の本が置いてあった(たしか下の画像のだった)。
氏が来場したかどうかは知らないが、来たのなら「いい仕事してますねぇ〜」の連続だったことだろう。