「親と子のギャラリー 探検!仏さまの文様」

奈良国立博物館(7/22-8/20 2006)


(8/20の日記のつづき)
仏教美術をかざるさまざまな文様にクローズアップした展覧会。
展示品は仏画や装飾経、金属工芸、仏像などで、動植物をあらわした具象的なものや、幾何学的にデザインされたものなど多種多様な文様がつかわれている。
また室内には大型のディスプレイやパソコンも複数置かれ、展示品の細部に迫った映像・画像がみられるようにしてあった。これは奈良博では初の試みだとか(ただし映像は音声なし)。
ディスプレイは、たしかパナソニックビエラだった。


この親と子のギャラリーというのは奈良博では恒例の企画で、こんなシブいのをみにくる親子っているんかな…と思ってたが、実際親子連れできている人(子供は小学生くらいまで)は何組もいたようだ。
展示の冒頭で子供向けにつくられた「問題用紙」があった。


展示品の文様の一部を写した写真が問題になっており、それがどの作品の文様なのか、実物を観察して下の選択肢から選ぶというもの。答えは展示の最後に掲示される。
このクイズが好奇心を刺激するのか、挑戦している子供がけっこういた。
そういうのをみると、奈良博のねらい通りにうまくいってるように思った。


仏像では、快慶作の東大寺地蔵菩薩立像を展示。
截金や彩色であらわされた、鎌倉時代当時の文様がよく残る優品である。
その傍らにはPCがあり、画面上の地蔵像の各部をクリックすると文様を拡大してみられるようになってた。
私がそれをいじってたら、途中でPCが止まってしまった。
しばらく待っても画面は動かない…。表情には出さないが、対処法がわからず焦る。
ここで私がとった行動は……そっとPCから離れる。
監視員?の方の目が気になったが、もう少ししたら正常に動いた。
よかったよかった。罪を背負わずに済みました。


館蔵の仏画名品、国宝の十一面観音像も久しぶりにみた。これは法起寺伝来だったかな?
むかし奈良博100年記念の特別展*1で初めてみたと思うが、肉身部の桃色の隈取り、優美に薄く掛かった衣など魅力が多い。
前にみたときは、もっと大きな絵だったような気がした。
この感覚は、僕の身体が昔より大人になったからなのか…。*2


この作品はさいきん光学的調査が行われたこともあって、絹地の目1本1本まで超拡大された文様もパネルで展示されてた。実物では全体としてひとつにまとまった美しさがあるが、それを構成するのは緻密に緻密に描かれた、細かな細かなパーツであるということがよくわかる。
昔の人の集中力ってのはすごいなー…と感じる一方、もっとも昔だろうが今だろうが、世の中には集中力が続く人もいれば続かない人もいるわな、とも思ったのでありました。


この日は新館の展示をみたり、サンデー・トークを聴講したりしてるうちにリニューアルされた本館の展示をゆっくりみる時間が少なくなってしまった。それでも、Sトークで得た知識をふまえてざっとでもみておこうと思って本館内を歩き回ってたら、なんか頭がクラクラしてきた。「仏像酔い」ともいえようか。
きょう本館はここまでにして、また後日にじっくりみに行こう。
で、Sトークではなかなか面白いことを聞けたので、また別記するとしよう。
(8/20の日記おわり)

*1:奈良国立博物館の名宝― 一世紀の軌跡―」@奈良国立博物館(4/26-6/1 1997)をさす。尚、実際の奈良博開館百年記念特別展は「日本仏教美術名宝展」(4/22-6/4 1995)で、これは日本各地から作品が出陳されたのに対して、「― 一世紀の軌跡―」では館蔵品を展示の中心とした。

*2:「壊れかけのRadio」。