回想「ロダンの系譜」展―接吻2

THE HERITAGE OF RODIN

(07/9/15の日記のつづき)
「接吻」といえば去年の秋、姫路の展覧会でみた作品である。*1
美の巨人たち でとり上げられたのは、パリのロダン美術館にある大理石(だったと思う)から作られた、おそらく等身大の白い作品だったが、私が姫路でみたのはメナード美術館が所蔵する高さ60センチほどのブロンズ作品。


岩上に座る裸の男女が、題名どおり唇を重ね合わせている彫刻である。
展覧会のポスターにつかわれていて、それを京都駅の地下で初めて目にしたときは「これはエロいなぁ・・・」と思った。その後、実物を鑑賞して、感想は「・・・こ、これは・・・エロいなあ・・・!!」に変わった。

黒いブロンズの肌に光が当たると、そこが白く浮き立ち、なまめかしさを与える。ブロンズ像では光も作品の一部となることがよくわかったのが、姫路での経験だった。「接吻」には螺旋の動きがあるという解説にもうなずけた。
ロダンは実際に、裸のモデルを前にしてこんなポーズをとらせたのか・・・!と想像すると、エロさが盛り上がった。
この作品は中高生には見せられんなぁ・・・とも思ったのをおぼえている。


姫路市立美術館にはこのとき初めて足を運んだ。
西洋彫刻のモダンの出発点たるロダンと、その後の彫刻家―ブールデル、マイヨール、ブランクーシ、ザッキン、カルダー、シーガル・・・等の作品(すべて国内のコレクションだったようだ)を集めた展覧会であった。

西洋彫刻の展示を見慣れていないせいもあったのだろう、はじめのうちは楽しみ方がわからないといった感じだったが、「接吻」の刺激もあって、途中からだんだん面白くなってきた。*2
昨年みた中では、工夫のある良い展覧会だったと思う。


画像は昨秋の姫路市立美術館。赤レンガの展示室は、もとは明治末〜大正に建てられた旧陸軍第10師団の兵器庫・被服庫で、国の登録有形文化財でもある。

*1:「近代西洋彫刻の流れ ロダンの系譜」@姫路市立美術館(9/16-11/3 2006)。06/10/28の日記参照。

*2:面白かったものとしてメモしておきたいのは、アーミテージ「降りていく人」や、アバカノヴィッチ「立つ人」など。