「18世紀京都画壇の革新者たち」その1

京都国立博物館(3/25-4/9 2006)


文化庁海外展帰国記念」と銘打たれた特別展観。
文化庁は毎年、交流事業として海外で日本古美術の展覧会を行っているそうで、
昨年12月から今年2月まで、アメリカはサンフランシスコ・アジア美術館にて
この展覧会を開催した。*1
で、これだけの名品が揃うのは国内でもなかなかないので、
この際京博で展示しようというわけである。


うーむ、絵画は詳しいわけではないが、
辻惟雄氏の『奇想の系譜』とかと関係しているのだろうか?
この当時のアバンギャルドな画人というのは、もうすっかり世に知られているでしょう。
私も好きです。
以下、会場で登場した画人ごとに感想を書いてみよう。

渡辺始興 (1683-1755)

この人は大覚寺に作品があったような気がするな。
金地に水墨の「山水図屏風」1点のみの展示。
ひとつだけでも出しているというのは、それだけ始興の作品に意義があるってことだな。
画中の山がエアーズロックのようだ。

円山応挙 (1733-1795)

金剛寺の「波濤図」…
か、かっこEジャン…
激しくうねる波が連続する掛軸。距離をとって眺めると、より凄さがわかるね。


私は以前にもこの作品をみて、やはり驚愕したと思う。
応挙没後200年記念の特別展、場所は同じくここ京博だ。
11年前のことか…どんな中学生だよ。
しかし、当時は襖絵だったのではないかな?手もとの図録でも「波濤図襖」とある。
最近になって軸装されたのかな。


応挙は何点か展示されてたけど、やっぱり「波濤図」ですな。うん。

呉春 (1752-1811)

あら?「呉春」って一発変換できるの?
この人は名前は覚えやすいが、作品はよく知らないな。


「柳鷺群禽図屏風」。おっ、これはちょっと面白いかも。
筆で線を走らせて、岩や鳥を描いている。彩色もあるが、植物は墨線の濃淡で
表現されている。点描のような部分もある。こういうのが南画的っていうのかね?
大江山の鬼退治を描いた屏風は、鍋を作ったり膳を運んだりしてる鬼が
ユーモラスであるが、場面説明がされてないのが残念。


一番面白かったのは「芋畑図襖」。ふと英題に目をやると Taro Field とある。
タロー?太郎フィールド??
ああ、タロイモとかのタロのことかね。
題名のとおり畑に生えた芋の墨画が、余白の多い襖に描かれる。芋以外なかったはず。
シンプルだが愛らしい。四条派らしい写生ってやつかな。

長沢芦雪 (1754-1799)

「蓬莱山図」。大画面ではないが、なんか横尾忠則チックだ。色使いとかね。
猿猴唐子遊図屏風」、右隻。漆黒の岩に直線的な水が流れ、赤や緑の葉っぱ
(ツタか?)がベタっとした筆遣いで描いてある。なんだか破壊的な感じだ。


「牧童吹笛図」…そう、芦雪といえば私はこの絵を思い出すのだ。
最初にみたのは所蔵者である久昌院でかな?
今思うに、あそこでみたのは本物だったの?レプリカだったの?
ほうほう、これは指頭画だったのか。指に墨つけて描く技法ね。
牛の顔が、なんとなくエゴン・シーレの絵みたいだ。


つづく、かな…

*1:英題「TRADITIONS UNBOUND−Groundbreaking Painters from Eighteenth- Century Kyoto」。京博とサンフランシスコ・アジア美術館との共催。